るのです。日の照りつける時は、傘を持たせると忘れたり破ったりするからと、托鉢《たくはつ》のお坊さんの被《かぶ》るような、竹で編んだ大きな深い笠《かさ》を冠《かぶ》ります。その頃お兄様は絵をお書きになったので、その笠には墨で蘭が画いてありました。赤い切で縫った太い紐《ひも》が附いていて、顎《あご》で結ぶのでした。荷物を斜めに背負って、ちょこちょこ出かけますと、茸《きのこ》が歩いて行くといって笑われますが、一向平気なものでした。その荷物は、読本と縦四寸横六寸位の小さな石盤《せきばん》とで、木の枠に石盤拭きが糸で下げてあります。遣いつけたら離されません。学校へ置いて来たらといわれても、いつも往《ゆ》き返りに背負っていました。石筆《せきひつ》に堅いのと柔かなのとあって、堅いのを細く削って書くのでした。
学校は大きな料理屋の跡らしく、三囲《みめぐり》神社の少し手前でした。立木が繁って、大きな池があり、池には飛石が並んでいました。子供たちが面白がって渡っては、よく落ちたものでした。運動場はかなり広い砂地で、細い道を隔てて田圃でした。その隅に丸太が立っていて、牛島小学校と染めた旗が附けてありました
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