ってみたり、黄金虫やかまきり位ならまだしも、蛙《かえる》やとかげなんぞまで平気で部屋の中に匐《は》い廻らせて喜んでおりますのでございますから、いやもうとんだ変りもので、躾《しつけ》も何もあったもんではござりませぬ。……手前の方から恥をさらすようではございますが、大納言様、……手前でさえも時々、あれはもしかすると何かの生れ変りではないかと疑ってみることがござりますのです。……
御行 (少々変な気持になって来る)……いや、それは自然を愛しているのですよ。なよたけは自然の子なのですよ。………
造麻呂 さようでござりましょうか?……それにしても、まあ、大納言様のような立派なお方にもらって頂いて、厳《きび》しく仕付けて頂ければ、……なよたけにとりましても、この手前にとりましても、こんな嬉しいことはござりませぬ。この上もないしあわせでござります。……さあ、さあ、まあどうぞ。むさ苦しい所ではございますが、……どうかひとつお掛け下されまして。……なよたけはただ今連れて参りますでござりますから。(居間に上って、粗末な脇息《きょうそく》をすすめる)さあ、さあ、どうぞひとつ。……(右手のなよたけの部屋の方へ
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