ば、いつでも許して下さるのよ。……御覧! お天道様があんなにきらきら輝き始めた。……お天道様はいい子のいる所だけしか輝かないの。悪い子が一人でもいると、御機嫌が悪くなって、曇ってしまう……。みんな、あんなあな[#「あんなあな」に傍点]に取っ憑かれて、悪いことをしたら、すぐに白状して、心を入れかえるのよ。分った? そうすれば、お天道様はいつでもあたし達から悪いあんなあな[#「あんなあな」に傍点]を追っ払って下さる。……あんなあな[#「あんなあな」に傍点]がいなくなってしまえば、世の中がどんなにしあわせ[#「しあわせ」に傍点]になるか分らないわ。そうすれば、もうあたし達は、つまらない事で一々あやまったり、心を入れ代えたり、こせこせ気を使ったりする必要はちっともなくなるのよ。……御覧! この数え切れない竹の木のどれにだって、あんなあな[#「あんなあな」に傍点]はちっともいないのよ! いつまでもいつまでも緑色に輝いて、……お天道様のおっしゃる通りにじっと身を委《まか》せている。……お天道様と同じ心を持って、しあわせで一杯になっている。……お前達もあたしもみんなこの竹の林の中に生れた。この竹の林
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