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綾麻呂 何だ?
衛門 と云いますのは、つまり、なんです。文麻呂様のような負けず嫌いのお方が、そのように夢中になられた造麻呂《みやつこまろ》の娘を、大納言様なぞのために、どうしてそう易々《やすやす》と諦《あきら》めてしまう気になったのだろうと云うことなのでございます。いや、手前の存じておりますところでは、その娘はまあそうしたしがない竹籠《たけかご》作りの娘ではございますが、旦那様が御覧《ごらん》になったとしても決して首を横にお振りになるような悪い娘でもございませんし、こう云ってはなんですが、文麻呂様の奥《おく》の方《かた》になられたとしてもちっとも恥しくない娘でございます。手前も、まあ、そのことをあまりずけずけとはっきりお伺いするのもどうかと思いましたので、こちらへ発《た》つ前に一度だけ、遠廻しにほのめかしてみたことがございました。東国へお発ちになる心がお決まりになったのならば、ひとつ思いきって、その娘さんを御一緒に連れていらっしゃってはいかがです。あの娘が大納言様の囲《かこ》い者にされてしまっても構わないのですか? 衛門、悪いことは申しませぬから是非そうなさいませ。何でしたら、手前
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