ぐも》の上、異様に冴《さ》え渡って行く。
現し世の 旅にまどいて
甲斐《かい》なくも 散るべきものを
いつの世の契《ちぎ》りなりけむ。
今はただ、彼の岸の光に充《み》ちて
我はなお、君に恋うらむ
みまかりし 君に恋うらむ
恋路なれば
今はただ 彼の岸の 光に充ちて
我はなお、君に恋うらむ
みまかりし 君に恋うらむ
恋路なれば
不可思議な楽音、高調し、白色光の光芒はあたりに異様に充ち溢れて……
[#ここで字下げ終わり]
[#地から1字上げ]静かに幕――
第五幕(終幕)
[#ここから2字下げ]
東国のある丘陵《きゅうりょう》地帯にある石《いそ》ノ上《かみ》ノ綾麻呂《あやまろ》の任地。約二ヶ月後の七月初旬。
幕が上ると、場面は緑の丘陵が遠々と拡がっている、例えば相模《さがみ》ノ国のある風景。
舞台左手は小高い丘。右手にかけて、なだらかな傾斜が続いている。
丘の頂上には、雑木の丸太で作った粗末な掛台がひとつ。石ノ上ノ綾麻呂がその上に腰を掛けて、前方右手の方を遠く放心したように眺めている。雨雲が晴れる前の、何やら落着かぬ雲行である。
丘の向う側
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