より、瓜生《うりゅう》ノ衛門《えもん》現れ、舞台右手に立つ。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
衛門 旦那《だんな》様。お独《ひと》りで何をしていらっしゃるのです。
綾麻呂 おう。衛門か?………む、待っているのだ。……長いこと、鬱陶《うっとう》しく蔽《おお》いかぶさっていたこの梅雨雲《つゆぐも》が今日こそは晴れるのではないかと思ってな。……待っているのだ。
衛門 晴れそうでございますか?
綾麻呂 晴れそうだ。昨日から雨も止んでしまったし、この分ではもう梅雨は終りだ。もうすぐ晴れるのではないかと思う。……(雲行を見ている)
[#ここから2字下げ]
間――
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
衛門 (丘の上に上って行きながら)それにしても、駿河《するが》の国にあると云う山が、ここからそんなにはっきりと見えるものでしょうか?
綾麻呂 見えるとも! 晴れた日なら、百里も離れた所からでも見えるだろう。……いや、もう、何と云うか、……実に見事なのだ。実に高いのだ。実に美しいのだ。
[#ここから2字下げ]
間――
[#ここで
前へ
次へ
全202ページ中177ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
加藤 道夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング