分の本心をかくしていた。僕にはあんなあな[#「あんなあな」に傍点]が取憑《とりつ》いていたんだ。……(次第に慟哭《どうこく》するもののごとく)……なよたけ! 許しておくれ! 僕が悪かったんだ!……なよたけ! 許しておくれ!
なよたけ (何かその眼は次第に神々しい光に輝き始める)いいのよ。いいのよ。……ああ、あたしって何て悪い子でしょう。こんなことを云って、またあんたの心を苦しめようとするのね。いいのよ。いいのよ。あんたはいい人なんだわ。あんたはいい人なんだわ。
文麻呂 なよたけ! (烈しく抱きすくめる)今日からだって僕達は決して遅くはないんだよ! 決して遅くはないんだ! 心の正しい僕達二人をお天道様が許して下さらないなんて、どうしてそんなことが考えられよう! 何もかも今日からなんだ! 僕達の新しい生活は今日から始まるんだ! さあ、元気を出して、一緒に行こう!
なよたけ 文麻呂! 本当にそう思う! 本当にそう思う! (切《せつ》な気《げ》に文麻呂の胸にすがりつき)……ああ、文麻呂! 文麻呂! あたしを棄てちゃ嫌《いや》! あたしを棄てちゃ嫌!
文麻呂 何を云うんだ!……お前を棄てるなんて
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