て浮游《ふゆう》しているかのようだ。
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小野 なかなか大した装束《いでたち》ではないか?
文麻呂 (両手を拡げて)これか? あははは。虚飾《きょしょく》をはぎとったのだ。本然の姿に戻ったのだ。剣刀《つるぎたち》身に佩《は》き副《そ》うる丈夫《ますらお》のいでたちとはこれだ! あはははは。どうだ!
小野 (気味悪そうに)大したものだよ。……ところで君はこれから何をしようと云うのだ?
文麻呂 なんだって!
小野 いやつまりだね、具体的に云って、どう云うふうにことを運ぶつもりか、と聞いているんだ。
文麻呂 分りきっているじゃないか!……なよたけは車にのせられて、間もなくここへやって来るのだ!……俺と清原はここで待ち伏せをして、大納言の魔手《ましゅ》から彼女を救い出すと云う段取りさ。……具体的も糞《くそ》もあるもんか! 問題は、なよたけを大納言の手から救い出せばそれでいいんだ。
小野 それがいけないんだよ。
文麻呂 なんだ?
小野 それがいけないと云うのだよ!……君は何をやるんでも、慎重な計画を立てずに、衝動的にやってしまう
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