ひでおみ》と小野《おの》ノ連《むらじ》、話し合いながら登場。中央まで来ると、立止って立話をはじめる。……
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小野 む。……それは僕もそう思った。石ノ上の奴、まるでもう、何と云うか、それこそ物《もの》の怪《け》にでも取《と》っ憑《つ》かれてしまったような有様《ありさま》だ。
清原 それだから、僕は困るんだよ。……ひとりで張切って大納言様の噂《うわさ》をああしてこそこそ都中にふれ廻ってさ、……あれで自分ではうまく行ってるものと思ってるらしいけど、僕あ、僕あ何だか少し恥しくなって来たよ。
小野 恥しい?……おい清原。恥しいと云うのはどう云うわけだい?……情無いことを云うじゃないか?……そりゃ僕はこの計画には局外者だし、親友の誼《よしみ》をもって、蔭ながら君達二人を援助して来ただけだが、……いくらなんでも恥しいとは何だね? それで君、なにかね、石ノ上に対して申訳が立つと思うのかね?
清原 (自棄《じき》的に)僕はもう嫌になっちゃったんだ! もう僕あ、こんな大それた計画からは手を引きたくなったんだ!……ねえ、そうだろうじゃな
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