線的な鋭敏性を示してゐる――』竹といふ画題は、おそらく日本画始まつて以来の画題的古さをもつてゐるものにちがひない。
竹はあらゆる画人が、あらゆる角度から、その姿態に於いても、殆んど描き尽したといつても良いほどに、手法の変化の余地のないほどにも描かれてきたに違ひない、その竹に郷倉氏が近代的感覚とか、直線的鋭敏性をもつて描いたとはどういふことを指していふのか、この批評家も、こゝまでは言ふ、だが例によつての印象批評で、具体的批評を行つてゐない。
竹などといふ古くからある画題に取組んで新しい仕事をするといふことは、新しい画題に新しい仕事をするよりも、幾層倍も困難が伴ふのである、郷倉氏はその作品の小さなものに案外な問題作が少なくない、『寒竹に小禽』とか、一哉堂展の『恵春』の試みとか、第十三回日本美術院『筍』とか、昭和四年の『寒空』といつた画壇で、さう喧ましく言はない作品に、却つてピカリと光つた作家の前進性や、郷倉氏の片鱗を発見することが多い、小品物には、展観制作の大物とはちがつて、気|隈《ど》らないもの、作家の日常の勉強ぶりがよく現はれるからである。郷倉千靱氏の作風位、動揺極まりない作風は少
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