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郷倉千靱論

 郷倉千靱氏の現在の作家的位置が、日本画壇のどのやうな位置を占めてゐるだらうか、そのことに就いて、分析したり観察したりしてみることは、様々の問題を提出する、こゝでいふ画壇的地位といふのは、画壇での政治的政策的地位のことをいふのではない、画が拙くても、なかなか政治的位置を築きあげることの巧みな人もある、こゝではその種の位置ではない、批評家の批評は、結局に於いてその作家の作品に出発して、その作品に終れば批評の目的は達せられる、党派とか、政略とかいふ作品以外の色々の附属物を気にかけて、それで批評眼を曇らすことは批評家の不幸に停まらず、作家にとつても不幸と言はなければならないだらう。
 郷倉氏の日本画壇での位置は、氏がこれまで反世俗的な方法を、作画上に加へることに依つて築きあげてきた、案外に滋味な位置と解されるべきであらう。氏はその小品、竹とか鳥獣とかの、日常的な作品にさへも、何等かの新しい試み、反世俗的な方法を加へなければ気が済まない性質である、院同人展への出品『寒竹に小禽』に対して、ある批評家が斯ういつた『近代的感覚をもつた作家である、直
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