といふ見解よりも、かういふ言ひ方がいゝ、当局の取締方針が、漸次、確立するにしたがつて、出版業者が逆に出版の『方針』がわからなくなつて、出版能力を減殺していつたと解す方が正しいだらう。
 現在の状態は、子供漫画の場合は、童話、絵本の類よりも、はるかに出版能力が低下してゐる、取締を強化しない以前に発行したものは、内容が悪くて、再版して発行するといふことは不可能な状態にある、当局もまた再版ものを喜ばないのである、出版業者は、従来の既刊物を自発的絶版にしてしまふより仕方がない、或る出版業者の話であるが、この業者は七十種類ほど漫画を刊行してゐたが、現在その大部分を自発的絶版にして、今は手持漫画は数種よりないといふ、市場に商品は、少くなるばかりであるし、新しく出版しようとすれば、当局が児童読物の内容に対して、いろいろの注文をする、その当局の注文を呑み込めない出版屋が多い、したがつて出版も渋滞し勝ちであるが一方、漫画は市場に品不足で、さうした中で、出版しさへすれば羽が生えて飛ぶやうに売れる、需要に応じきれない現在、出版業者は出版はしたいし、出版取締の(以下十字判読不能)至難といふジレンマに陥つてゐる
前へ 次へ
全419ページ中405ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング