状態だ。
 子供読物取締に就いて、一※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話がある、内務省の一役人が、関西地方の視察旅行をしたとき、ある本屋に入つて、子供にはどんな本が、いちばん売れるか――、と質問した、そのとき本屋が、これですと差出したのが、所謂赤本漫画であつた、その漫画の内容がまた言語に絶した、粗悪なもので、本屋の主人に『これはどの位、売れるものか』と質ねたところが、全国に数十万、捌かれるといふことを聞かされて、役人は驚愕した、これではいかんと浄化取締に着手したといはれてゐる。
 過般の児童読物浄化取締は、児童心理の研究者や、教育者が当局に浄化取締の、動機をつくつて与へたものでなくて、今回の取締の当局自身が、それに着手したといふことが、特徴的なところである、子供漫画がそれほどに俗悪のクライマックスに達してゐるのに、児童心理の研究者や、教育家達は、それまで何をしてゐたかといふことに就いては、この人々が、決して教育に対して不熱心でも、専門的でなかつたわけではあるまい、何故なら『××的教育の批判的云々』とか、『児童心理学から見た××』とか、さかんに教育に
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