て湧かしてなんかゐない、一枚二万五千円計二十枚五十万円の海と山との絵を描いてゐるのである、陸海軍省へ献納しようといふ大観のひたむきな制作態度を賞めてやつてもいいだらう、さういふことに彼が制作情熱を沸かす、それが大観の特質なんだから――
福田平八郎小論
○…京都在住の画家には何か格式といふべきものへの執着を、多かれ少なかれもつてゐる。人と逢つても体を崩さないといふところがある、福田平八郎は京都住ひではあるが、その点全く江戸人のやうな鉄火肌のところがあり、開放的でザックバランだ、おしやべりかといへば、どつちかといふと無口の方だが、開口一番するや思つたことをズバズバ言つてのけるといふ性格で彼の描く絵のやうに明確なものがある。
○…福田平八郎の人気を名づけて「好もしき人気」といつたらぴつたりしよう。流布される人気は何時の場合も、好感的なもので、作為のない彼の人柄がさうした好ましさを生むのであらう、この作家の初期の画面は神経をゆきわたらした、ねつとりとした粘液質のものだが、最近作では次第にそれが様式化され図式化されてきてゐて、淡白なものになつてゐる。
○…問題なのは近頃になつてからの
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