も肉感的なものがあり、髪の僅かなほつれもさすがに巧い。
△西岡聖鵑――『渦』波の動きをよく捉へてゐる、自然観察の絵はやはり面白い。
△横内大明――『山静』茶と青とに南画家に珍らしい、いゝ感能がある写実に執着してゐる点、墨の色に近代的な理解を加へてゐる点等佳作を産んだものだらう。
△太田天洋――『国防の覚め』余りに説明的すぎて、作者の調査の努力を見せつけられる感あり、題材の計画としては良いが。
△小早川秋声――『軍国の秋』日本画の仕事といふものは斯ういふ処にあるものではない、その通俗性と世俗性は余りに底が知れてゐる。
△藤森青芸――作者が力んでゐる割に出来が良いとも思はれない、色にリアリティがあるが形が一様である。
△保間素堂――『閑隠寮の秋』一人の女が化粧してゐるが、その手の形の小さゝ、お白粉のつきの悪さ、色の剥げた肩など過去の女を思はせる、古い東洋性の没落を代表してゐるやうな女性を描き得てゐる。
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日本画壇 新鋭作家集


    度胸の良さ 加藤栄三氏

 加藤栄三氏のやうな画家に対して、一体この画家は今後作画上でどういふ動きをす
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