、残るところは描き方だけである。
三岸好太郎[#「三岸好太郎」に傍点] この室には三岸の遺作が列んでゐる。『貝がら』とか『海と射光』とか『海洋を渡る蝶』といつたシュールリアリズムとしての彼の題材のものに矢張り好感がもてる『立てる道化』といつたクラシック張りは三岸でなくても誰でもやれる仕事である。
クラシックとモダニズムとの矛盾の児と彼を呼ぶことに異議があるまい。もう少し彼を永生きさせてをいたら相当面白い仕事をしてくれたと思ふが、中途半端な仕事で夭折したことは惜しい。彼は好んで蝶を海の上に飛ばせる。それは彼の近代人としての不安感の表現である。
ダリの頭にヱルンストの尻尾をくつつけて自己の物と主張してゐる風な画家が少くない折柄、三岸のものは人柄がでゝ気が置けなく見れて良い、やうやく少しばかり彼の独創性が加はりかけてきたのに惜しいことをした。私は彼の絵は好きでない。才能が好きである。
第十三室
大野五郎[#「大野五郎」に傍点] 『女と』と『朝』では前者の大野らしい詩のある絵の方を好む。スポーツマン[#「スポーツマン」は底本では「スホースマン」]の朝の充実した感情を描いた『
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