てゐる。もつとリアリズムの守り手として、旧来の絵画上の諸秩序の打ちこはし手として吉原の創造性を発揮してもらひたいし、若い後進のためにリアリズムの基本的方向を示してやるべきだ。

    第十一室

 田中佐一郎[#「田中佐一郎」に傍点] この人は気迫の弱さにありながら、殊更に強い絵を描かうと努力してゐるといふ感がある。だから自然な素直なあまり無理をしない態度のものとかへつて人柄がでゝ美しいものがある。『牛』などその意味からも好感をもつことができる。
 中村節也[#「中村節也」に傍点] カラーリストらしくふるまつてゐるが事実はカラーリストとしては認め難い。仕事は出鱈目なところが多いが、絵のまとめ上げの点や効果を心得てゐる点では隅に置けない『池鯉』など殊にさうである。

    第十二室

 多賀延夫[#「多賀延夫」に傍点] 『石など』 この絵のやうな画風をどんどんと追求して行つたら独自的な世界へゆくと思ふ。態度も素朴であるし、対象の理解も複雑である。石と鉄片の構成は面白いし、殊に石とか鉄片とかいふ物質に関心をもち、これらの粗雑な物質の表面の凸起面の描写に苦心してゐることは判る。題材は良し
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