批評の場合は、彼の抱いてゐる世界観で踏みこんでいかない限り批評することができない。須田に色調を斯う変へてくれとか、材料が今どき「水浴」でもあるまいなどと注文したところで注文する方が愚の骨頂であらう。彼の絵には現実の空間に対して特殊な認識がありそれが彼の絵をボッと霞んだ不透明なやうな透明なやうな絵を描かせてゐる。
だから時には遠くの物を前景のものより明瞭に見るといふ場合が彼の場合多くある。そして視覚的意味に於ける前景無視の彼独特の処理の仕方に対して、私は一つの意見をもつてゐる。彼の激しい対象の追求の方法は私は好きだが本人が意図してゐるかどうか判らぬが意図の究極的なまとめ上げを客観的に観るときには、彼はそのまとめ上げを『光り』をもつて最後を制約してゐるといふことだけははつきりといふことができる。彼を虚無主義者とみ、しかもその能動性をみたのは、彼は如何なる肉体其他の描く物質をも、『光り』をもつて一度は破壊し尽し、再び『光り』として現実のものにまとめあげ形象化してゆくといふやり方である。試みに彼の「少女」を少し注意して見給へ。少女の肉体は全く光りをもつて形づくられてゐるから、――線画上の物質
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