いし、仕事に対しての苦しみ方など若い人々は学ぶべき点があるだらう。
 海老原喜之助[#「海老原喜之助」に傍点] 「曲馬」馬はちよつと面白い。殊に馬の物量感がでてゐたし不思議な線の歪みの中に立体感を捉へ得てゐる。この人の絵はもつと小品をまとめて個展か何かで見せて欲しい気がする。
 里見勝蔵[#「里見勝蔵」に傍点] 所謂里見式の仕事の反覆性が観念の固定を来してゐる。作者としては苦しい境地であらう。自分の才能を信じ切ることのできない良心的なところが、また里見の良さの一つであらう。だが、私の希望するところは、仕事の進め方の方法論だけである。俗に飛躍と名づけられるやり方で大胆に変つた試みをやつて欲しい。(否見せて欲しい)里見の場合一枚の画から、次の一枚の画に移る過程に必然性を看落してゐる。里見は仕事の仕方を、何か決定的なものに考へこんでゐはしないだらうか。その苦しみの切実さと、作品の出来栄とは又別だ。あゝまとまつたものでなく大いに過失をしてほしい。

    第五室

 鈴木亜夫[#「鈴木亜夫」に傍点] 「撮影」こゝに描かれた人物は一九三五年の人物ではない。取扱の上にすでに社会性が喪失してゐるし
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