間に、作者の信念は観るものに案外もろいものに受けとることができる。岩井はスケールの大きさを覗ひ、重厚さ、素朴さ、粘着力のある仕事つぷりは好ましい。そしてその芸術の闘ひ手としては旺玄社ではドンキホーテ的画家は岩井だといふことができよう、そして殆んど反対の立場で仕事をしてゐるハムレット的画家に上野山清貢がある。
上野山清貢に就いて
岩井の神経の太さと上野山清貢の神経の細さを形容しまた時代的意味も加味して、ドン・キホーテとハムレットと形容したが、上野山の場合の神経の細さは、画壇で珍らしい特殊な神経の持主だといふことができる。徹底したカラーリストであるといふ点では、牧野虎雄と好一対であるが、今度の旺玄社の牧野の出してゐる『芍薬』は色彩家としての牧野の特長を生かした画とはいふことができない。最近の牧野の仕事は何か色彩に就いて以前程衝動的美しさを感じてゐないやうだ、『芍薬』の花を※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]してある壺のその壺の絵画の太い線描などはいかにも牧野が線に対して特別な愛着を示してゐるといつた表現である。そしてその太い線は線描家としての
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