才能を発見して騒ぎたてる傾向があるから、生きてゐるなら生きてゐる間に良い作家の真実の価値を大衆に示すやうに団体として努力すべきだ。
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洋画壇時評 旺玄社展を観て
上野山清貢と岩井弥一郎
岩井弥一郎――最も場内で個性的だといふ意味に於いて、この作者の絵の前に私は吸ひつけられた。同時に私はこの岩井の絵を見て、直感的に斯うさとつた『彼は立派な観念主義者である――』と。観念主義者は美術にかぎらず文学、哲学あらゆる部門にわたつて世界各国にびまんしてゐる。彼を観念主義と見るならば、岩井は一体何国流の観念主義者だらうか、それは将に独逸流の観念主義者である。
それは彼の『静物』を見れば判る。色々の野菜類が雑然とならべられ、それがおそろしく大きく描かれてゐる。
岩井の場合にかぎらず、画家が一個のリンゴなりカボチャなりを前にして描き出すとき、そのカボチャの実在的な大きさつまり実物の寸法より、画布の上に一巡り大きく描くといふこと、反対に一巡り実物より小さく描くといふことに対して果してその画家はどれだけの良心が働いてゐるだらうか。芸術的表現とは
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