追求をするのであつたら、放庵は未醒に還らなければならない。現在の放庵はさうではない。非現実的世界を求めて、未醒と袂別した放庵の絵画上の手段方法は、その非現実な美の頂天に到達して、現実性を見るものに与へなければならない。更にこゝに放庵は「胡馬」の前脚に封じこめた未醒を、魔法を解いて解放してやるといふことも考へられる。同時に私は放庵はあの不思議な紙「放庵麻紙」ともあつさりと袂別して、彼のあらゆる規律と、形式とからの解放と自由とをもつて、真のなまなましい人間放庵の仕事をみせて欲しいやうにも思ふ。放庵麻紙を捨てよ、といふ私の忠告は色々の正統な解釈と、誤解とを生むかも知れない。しかし人々は安心しなければならない。この不思議な紙に捉はれてゐる彼がその紙を捨てたからといつて、彼が第三流の画家になるとは思へないからである。私のこの注文は放庵の脱皮を希望しての一つの利の提言なので、私のこの提言は一つの科学的根拠に立つた考へから出発したものだといふことを信じてゐるものである。
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福田平八郎論


 福田平八郎氏と堂本印象氏の、これまでの画壇的な経歴といふ
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