あつたかといふことに思ひ到るときは、それは驚嘆に値する。活動的な作家なのである。然もその活動ぶりは華々しいそれといふより、かなりに粘液的なそれである。その持続力のながさ、テンポの平調さで、他の作家に比類をみないほどの着実な歩調なのである。図柄そのものは、人格論で片附けるにはもつてこいの、穏和な作品をかきつづけてきてゐる。しかし武者絵に於いては、その作風の軟弱さ、その柔弱さが目につくほどの、近来個性的作風となつてきてゐる。それに対して作者は抗していかなければならないだらう。作者の芸術的良心の性質は、あの弱々しい武士の鎧の下に隠されてゐる。契月氏の強いヒューマニズムにあり、吾人はそれを支持する必要があらう。
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金島桂華論



 厳密な意味に言つて、作家の作品だけの本質を論ずることは、一応まとまりがつき易い、しかしその作家の「人気」の本質を論ずるといふことは、なかなか難事業である。批評の場合、その作家に依つてさうした困難とぶつつかる場合がある。奥村土牛氏とか徳岡神泉氏とか、いまこゝに論じようとする金島桂華氏などは、何れもその「人気」の本質
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