子をとらずに、ただそれに軽く指をかけただけで、挨拶をしたことになるといふ習慣にかはりました、しかしお低頭好きの連中は反対しました、ことに老人たちははつきりと口に出して
「いまの若い連中は、おじぎをすることを忘れてしまつて、まことに嘆かはしい時代になつたものだ――」
「ことに怪しからんのは、神社やお寺の前に行つても帽子をぬがんことぢや――」
と言ひました。
女達が男と同じやうに、帽子をかぶり始めてからは、一層非難が起きました、女たちは今ではお低頭をしないばかりか、頭に帽子をくくりつけて、風にふき飛ばされないやうな仕組みにつくりかへました。かぶつたまゝで、なにもかにもすましてしまふやうになつたのです。
お低頭をすることが少くなつたので、バッタの国の政府では、それを非常に気にしはじめ、殊に老[#「老」に「ママ」の注記]寄りのお役人たちは、「帽子に関する法令」を新しくつくらうと言ひだしました。
小学生、女学生、中学生、大学生や、一般国民に、新しい時代の正しいお低頭の仕方を、法律できめようといふのでした、学生や一般の市民がどんな風に帽子をぬいだり、かぶつたりするかを調べるために、帽子調査
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