して」
「ほんとうに、しのぎ良くなりまして――」
 といふやうな性質の言葉を二匹が交し、二百回ほども頭を下げ、はじめて二匹はほんとうに秋になつたのだと思ひこみました。
 一方のバッタは、いかにも新しい言葉をみつけだしたかのやうに
「やがて冬でございますわね――」
 といふと、他の一匹はあわてたやうに
「ほんとうでございますわ、寒くなつていやでございますわ――」
 といひました。
 二匹の女バッタは街角で、ながいあひだ、お低頭をし、冬がきて霜が降り、自分たちの運命が、木の葉と同じやうに散つてしまふことに、たがひがフッと気がつくまでには、それからまた百回ほどもおじぎをしました。悲しい運命に気がつくと、二匹は身ぶるひして買物の包を小脇に抱へなほし、大急ぎで両側のくさむらの中に、横つ飛びにとびこみました、ガサガサと葉の音をたて、どこかに行つてしまひました。
 いつのころからか、バッタの国に、よその土地から流れこんできたバッタの裁縫師がありました、彼はそこで小さな店をひらき「帽子」といふ頭にかぶるものを、発明して売り出しました、世間では彼のことを帽子屋と呼んでゐました、帽子といふものは不思議なも
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