ちの運命を、すこしも考へてみようともしないのです、路であふと、おたがひに頭をさげること――それが彼等のたのしみの全部であつたからです。
米をつくやうな格好で、たがひに幾度も頭をさげ合ふ、その動作の間に、意味もない常識的な挨拶の言葉をはさむのでした。
「秋になりましたわね――」
と一匹のバッタが頭をさげました、彼のいふやうに、そのとき周囲は秋になつてゐたのです、山を見ると、自然が木々の葉を、よくも念入りに、一枚一枚丁寧に紅く染めあげたものだと感心させました。
秋の景色に、夏の気配がのこされてゐないといふ意味で、その季節の変り方が、あんまり完全すぎて愚かしいくらゐで、夏の名残がすこしはあつてもいゝのに、と思はせました。
季節の変り方は冷酷でした、しかしバッタたちは、それを感じようとはせず、ただペコリとお低頭をして口先で
「秋になりましたわね――」
といふ、すると他の一匹が答へて
「ほんとうに秋になりましたわね――」
と頭を下げました、二匹にとつて、秋がきたことを納得するまでには
「まつたく涼しくなりましたわね――」
「お涼しくて結構でございますわ――」
「気候がおよろしくなりま
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