すると意地の悪い批評家はグッと詰つてしまつたが、席の一隅から議論がいつぺんにもちあがつた、若い批評家は立つて斯ういつた
『果して代表のいはれるやうに、我国に風船にいれるほどの一握りの自由の精神もないでせうか、もし代表があくまで無いとおつしやるなら、私は即座にあなたの手にしてゐる風船にそれを吹きこんでお目にかけませう、然しです、その風船はとうてい御老体が、遙々お持ちになることができない程、重いものでありませう―』といつて笑つた。
若い獅子の自由主義
森の中では、七匹の獣が選ばれて、森の政治向のことを支配してゐた、ところが選ばれた山犬閣下は自分の牙を磨くことにばかり熱中して、毎日のやうに歯医者通ひをしてゐたし、狼閣下はお洒落で、爪を磨くために、美容院でマニキュアばかりやつてゐる状態であつたから、さつぱり森の政治はうまくいかず、とうとう森中の獣達が怒つてしまつた。
そこで七匹の獣閣下は辞任して、新らたに七匹が選ばれた、然しこれまで森では自分の身を飾つたり、自分の腹を肥やすことにばかり熱中してゐるといふ、身勝手な獣ばかりが選ばれるので、森の獣達が今度選ばれた七匹も信用しなくなつ
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