高鳴るのに
まかせてくれよ
恋と戦ひとを一緒に企てる
わたしの強情さを
君よ、笑つてくれたまい、
ゴシップも飛ばし給へ、
世のゴシップをいつかは
愛の発電機が
だまらせるだらう、
わたしは愛するものの
庇護のもとにある幸福に酔ふ、
庇護の下から
たたかひに出てゆく、
どんなに勇気がでるだらう、
恋には暇と時間がいるとは
君がプロレタリアートの
恋愛を軽蔑してゐる一つの理由だ、
女を愛する時間にさへ節約的な
君が階級闘争に熱心であることは偉い、
いつそ飯を喰ふことも
やめてしまつたらどうか、
階級を、父を母を、
兄妹を、妻子を、同志を、
一切は愛と真理のための闘ひだ、
肉親の愛をつよく肯定したまへ、
さらに百尺竿頭一歩をすゝめ
たまには赤の他人を愛する練習もしてみたまへ、
君の心臓は美しいものの心臓と触れるのだ、


愛の一刀両断

プロレタリアの恋愛は
どういふ恰好でするものだらう、
ブルジョアたちの恋愛と
どんなに様子が違はなければならないものだらう、
プロレタリアの若い連中は
熱心にそれを知りたがつてゐる、
わたしは思ふのです、
金盞花の蜜を吸ふ蝶のやうに、
やつぱり花の上で酔ふ
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