完全な幸福さがなければならぬ、
たたかひよし、言葉をかへれば
これは幸福の代名詞だ
星のまたたきも甘い、
その光りは凄惨なほどの美しさをもつてゐる、
何に見とれて私たちは夕星の下に
立つてゐるのか、
女よ、
私の体からそつと離れてくれ、
また近よつて抱擁もせよ、
くちづけの甘さを
永遠に我々は忘れない、
苦痛と、悔恨と、憤怒とを忘れないやうに、
幸福の根元を早く見究めよう、
生活の疲れ
生活になぶられてゐる肉体
翻弄されてゐる精神の敵がどこにあるかを見究めよう、
照れよ、
やさしい夕星よ、
すべて山の上に、
かすかな絶え難いほど細かい
繊弱な光が雨のやうにふつてゐる
わたしたちは抱擁のさなかに
いかに強くはげしく
その光りの本質的な強大さを知つただらう、
空の光りもののために
地上のすべての光りものである若者たちは、
武器を片手にして愛を語るほど強くなつてくれよ、
日本の若いコサック兵よ、
すべての自由の夕星の下にあつて愛を語らう


両性の上の貪慾者

男としての私の誇りは
女の感情のデリカシーを
どんな際涯までも追つてゆく求めてゆく力
沖へとほく去つてゆく
海鳥のやうに
女のデリ
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