性質を悪るくするんだらう、(憎々しさうに)糞沈着におちつき払つて、僅かな道程を、われ/\の十倍も時間をかけて通りやがるんだ、やい百姓め、たがひに何か親しさうに話しながら、(憎々しく)世間の秘密をすべて知つてゐるやうな意味ありげに笑ひ合ふ、さあいざり立て、立つてみろ、女共の加護と同情の下に、見事突立ちあがれ、さあ立て、立て、青年達、こやつの剛[#「剛」に「ママ」の注記]慢の腰をのばしてやるんだ(いざりに襲ひかゝつて無理に立てようとする、婦人合唱隊は青年達の行為を押しとどめて、男女たがひに揉み合ふ)
○合唱いざり、(陽気に、体を左右にふり、左右の手を物乞ひらしく動かしながら、合唱)仰せのとほり、君等の十里は、われらの千里さ、
○いざり一、お気の長いが、われらが取柄、
○いざり二、でも、みなさん結局は!
○いざり三、着くべきところへ、着いたら、何の文句もないでせう。
○合唱いざり、さあ、タワリシチ
   深刻ぶつた
   夜中の思想の幕を引きあげろ
   五体揃つた人間様ぢや
   とかく物事に尻込なさる
   そこで腰の蝶ツガヒの
   はずれた我々が
   人生を陽気にするやう
   前
前へ 次へ
全98ページ中43ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング