小熊秀雄全集−7
詩集(6)長篇詩集
小熊秀雄

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[表記について]
●ルビは「《ルビ》」の形式で処理した。
●ルビのない熟語(漢字)にルビのある熟語(漢字)が続く場合は、「|」の区切り線を入れた。
●二倍の踊り字(くの字形の繰り返し記号)は「/\」「/゛\」で代用した。
●[#]は、入力者注を示す。
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●目次
紙幣
シャリアピン
長長秋夜
魔女
きのふは嵐けふは晴天(抒情詩劇)
託児所をつくれ
諷刺大学生


紙幣

紙幣よ、
貴様のためにこの私の詩人が
歌ふのを光栄と思へ、
だが貴様はいふだらう、
――何を生意気な貧乏詩人め、
  イノシシとは一体
  十円札か百円札か知つてゐるか
さういはれてみると一寸胴忘れした
然しそんなことが何の恥辱だらう、
紙幣の図柄をゆつくり
見て居る暇もない程に
貴様はいつも私の右から入つて左へ抜ける
まるで駈足だ。
もし私がブルジョアならば、
お前にもつと親切だらう、
図柄もとつくり見ようし、
一枚一枚アイロンをかけて皺をのばさう、
お前は時代の寵児
お前は向ふところ敵なしだ、
札束で頬ぺたを殴られる
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