人だ、
これからは民衆はもつと気儘になるだらう、
そして会話の声も
ずつと高くなるだらう、
男は勿論、
思ひがけない程女たちは強くなり、
男たちは益々露骨に
女を可愛がるやうになるだらう。


詩の俳優

ああ、私をして
この有頂天から突き落せよ、
私は詩の俳優なんだ
演技がまづけりや笑つてくれ給へ。
私はこれから気取るのだ、
私は女のやうに半襟を選むんだ、
私は自分の部屋での
苦しみで不足して
のこのこ舞台の上にまで呻きにゆくんだ。
この恥さらしのために
誰がカッサイをしてくれるか、
私は誰をひきつけることができるか、
君は立派だ、
君は男らしいわが友よ、
貴方は美しい、
貴方は女らしい、わが恋人よ、
私の俳優にとつて
なんと豊富な観客の数だらう、
私にかつさいをするもののために
私は狂気になりさうだ。
私に焼けた鉄の棒を呑ましてくれよ、
民衆よ、わが馭者よ、
私をブッ倒らせるほど
つかひまくれ、
私のグループは
すでに手順が揃つた、
彼は幕引き
慎重なる態度で
私が真実に
涙をながした瞬間に幕をひいてくれる、
某は銅鑼たたき、
なんと情熱的なる狂ひタタキよ、
某々は衣裳掛り、
私に
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