ろの中はいりまじつて
まるでよごれものさ、
私はいま自分の心を
西洋流に洗濯してゐる、
東洋流に
だらだらと一日中苦しまない、
だらだらと一日中、はしやがない、
悲しみも苦しみも
じつと堪へてゐる
一週間目毎に
かためてをいていつぺん[#「いつぺん」に傍点]にゴシゴシ洗ふ、
おゝ、この美しい
月夜のために我々は
冷静でをられるか、
我々の解放の時間は
先づ自分の手によつて
自分の周囲から
つくり出さなければならないから、
立つてゐる私に月が光りと影を与へるやうに――、
あいつは頭の中では
たえず労働者をほめてゐる
でなければ労働者にコビてゐる
あいつは頭の中では
月は美しいと思つてゐる
でなければ自然への追従だ、
心では月や労働者を
美しいと思ひながらも
美しく歌ふ力のないものよ、
おゝ、君はそのために苦しむのは正しい、
我々の新しい美学を打樹《た》てるために
苦しむのは良い
だが君の苦しみは
とかく退屈へ引継がれる、
人生の雑種として
どうせ私は殖民地生れ
混血児なんだ、
お気にさはつたら
御免なさい、
理解できなかつたら
勝手にしやがれ、
私は人生の雑種として
節操がない
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