れと叫ぶ、
私は混線してますます
感情の赤いスパークを発す、
階級闘争の
君の閑日月の
日記を見たいものだ、
私の閑日月は
焦燥と苦闘の焔[#「焔」の火へんを炎にしたうえで、へんとつくりをいれかえた字、焔の正字と同字]《ほのほ》で走る、
孤独の超特急だ、
帰ることのできない、
単線にのつてゐる
もろい素焼の
ボイラーは破裂しさうだ。


月の光を浴びて

私の悲しいと思つたときに、
月がのぼつてきた、
自然は私のもの人間のもの、
なんといふお誂らへ向きだらう、
そして私の機嫌はいつぺんになほつた、
大股に歩るきながら
そして私は考へるのだ、
とにかくわれわれは
敵に憎まれる必要がある、
その必要のためにのみ
貴重な口を開け、
大事な足を前に出せ、
傍若無人の行為は許されてゐるのだ、
――傍若無人はいけない、
といふものがあれば、それは味方ではない敵だ、
退屈な月夜を
泣いて暮らすのはいゝ気分だ、
だがそれは斯ういふ時世には
少しもつたいないだらう、
我々にとつて
もつとも解放的な夜といふものは
相手を嫌がらせる歌をつくつたり
計画を樹てたりすることだ、
毎日悲しく、
毎日嬉しい、
こゝ
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