い言葉、新しい形式を
鐘と太鼓で探しに行つたらいゝ、
我々にはそんな暇がない
我々は今日の問題について
今日の言葉をもつて歌ふのだ、
若いプロレタリア詩人よ、
我々は彼等のやうに
言葉に対して宿命論者であるな、
彼等は千万年もドモれ、
我等は
日本語に良きリズムの花を咲かせよ
我等はすべて
行進曲《マーチ》風に歌へ。
鶯の歌
それを待て、憤懣の夜の明け放されるのを
若い鶯たちの歌に依つて
生活は彩どられる
いくたびも、いくたびも、
暁の瞬間がくりかへされた
ほうほけきよ、ほうほけきよ、
だが、唯の一度も同じやうな暁はなかつた、
さうだ、鶯よ、君は生活の暗さに眼を掩ふなかれ
君はそこから首尾一貫した
よろこびの歌を曳きずりだせ
夜から暁にかけて
ほうほけきよ、ほうほけきよ、
新しい生活のタイプをつくるために
枝から枝へ渡りあるけ
そして最も位置のよい
反響するところを
ほうほけきよ、ほうほけきよ、
谷から谷へ鳴いてとほれ
既にして饑餓の歌は陳腐だ
それほどにも遠いところから
われらは飢と共にやつてきた
悲しみの歌は尽きてしまつた
残つてゐるものは喜びの歌ばかりだ。
幼稚園を卒業
前へ
次へ
全37ページ中19ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
小熊 秀雄 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング