騒ぎではなく
我等はこの情熱に
歌うたはせねばならない、
けふ私の頭は空つぽになつてゐた
しかし私は才能を信ずる
私は決して絶望しない、
私はいつも分相応な
憤怒の対象をみつけるから、
弱きものよ、
君も、いゝ憤りを発見したまへ、
すると君はいつぺんに
怒る男性がいかに
美しいかといふことを経験するだらう、
それはほんとうに立派だ、
試みに愛するものに
適宜に怒つて見給へ、
君は一層彼女に慕はれるだらう、
憤れよ、
金属性の時計に
私の心臓は激しく対立する
そして私は勝手に私の心臓に
時の目もりする
二十四時間ではない
はかり知れない時の目盛りを、
われわれは
我々の時間を充実して頑固でありたい、
私は愚劣さの火花を散らしながら
愚直に行動
することが一番好きだ、
君はそれに眼をそむけてゐた、
だがたまり兼ねて憎みだした、
私は勝利の盲信者であつてもいゝ、
私を変質者とみても構はない。
不謹慎であれ
わたしがはげしい憤りに
みぶるひを始めるとき
それは『あらゆる自由』
獲得の征途にのぼつたときだ、
その時、私は不謹慎でなければならない、
不徳でも
また貪慾でもなければならぬ、
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