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乳房の室のたそがれには
あかい服の侏儒たちがあせみどろになつて
媚薬の調合に
かちかちとふらすこを試験管をならす
室にならべられた水晶の壺にくすりがいつぱい溢れたとき甘い媚薬の蜜に
たくましい白蟻が集ひ
よつて、踊つてなげいてゐる
そしてみにくい争闘に日をくらす。
風呂
なないろ光線のげんわくのあとにあんこくのさくれつとなる
小気味よい世紀末がきたなら
おれたちふたりは
灰色のだぶだぶの服をきて
べろべろ笑ひの笛をふき
手に手に琥珀の椀を持ち
をんなといふをんなの
みわくの動脈から
いつはりのぶどう酒を
いつぱいづつ貰つてあるかうよ
いつぱいづつ
貰つて歩かうよ
さあみんなこい
みんなこい
さあみんなこい
みんなこい
にごつたぶどう酒の
千人風呂にひたつて
そして男たちは魂の傷ぐちを洗はう
子供たちに
街を歩むとき
手をふり元気よく
おあるきなさい
夜やすむとき
足をうーんと伸ばして
おやすみなさい
ちゞこまつてはいけません
日蔭に咲く花のやうに
みじめに
しなびてしまひます
白い蛇
ああ
あまつたるい重くるしい夜のくさむらで
白い蛇が二匹
こんがらか
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