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そと触れてもものに
怖づてふ自《みづか》らの
かなしき性《さが》をひとりさびしむ
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床屋より帰れば従妹
しげしげと顔をみるなり
二階にあがる
七夕
七夕の柳ひきづつて行つたばかりの路だ
河原の石白々とせきれいの尾も白い
ほとほと[*後半の「ほと」は二倍の踊り字使用]と困《こ》うじ果てたるわたしの生活
そつとして置け女、恋ごころ、こはれる
真つすぐな街
美瑛町のまつすぐな街に立つてゐる女憎らしい
入浴をそそる午後の陽にしんみり坐つてゐる
珠を拾つてみたい幅広い夜の街
いつぴきのけもの街を馳けぬけた深夜のひととき
ごむ靴を穿いた子供の気持である
愛しうてならない馬が街を通つた
歩るいてゐるのが不思議でならず足をながめる
拳銃を欲しくてならない女を撃つ拳銃でないのです
[#「七夕」「真つすぐな街」は自由律俳句]
無神論者の歌へる
共産主義、無政府主義、社会主義、みなくだらなしただなんとなし舌触りよし
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人なみに妻を娶りて子を産みてさてそのつぎのおそろしきかな
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争ひて頬をうちしが争ひて髪をきりしが妻は妻なり
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子の愛を
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