。この間ファラデーは黙ってやっておったが、漸《ようよ》う口を開いて、「そうだ、軟《やわらか》いが、なるほどすぐに脆くなる。」しばらくしてこれに附け加えて、「そう、もっと何か、こんな事は無いでしょうか。」「新しい事は、これ以外には別にない」と言うたら、ファラデーは多少失望して見えた。
ファラデーがある事実を知るのには、充分満足するまでやって見ることを必要とした。それですっかり判ると、その次にはこれを他の事実と結んで[#「結んで」に傍点]、一つにして[#「一つにして」に傍点]考えようと苦心した。実験室の引出しの内に在った覚書に、こんなのがあった。
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四段の学位
ある新事実の発見。
この新事実を既知の原理にて説明すること。
説明出来ないような新事実の発見。
その新事実をも説明し得るような一層一般的なる原理の発見。
[#ここで字下げ終わり]
[#地から3字上げ]M、F、
三七 実験に対する熱心
ファラデーの実験に対する熱心[#「熱心」に傍点]は非常なもので、電磁気廻転を発見したときに、踊って喜んだことは、前にも述べた通りである。光に対する磁気の作
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