の上に散して置かないし、悪い臭いも出来るだけ散らさぬようにする。実験をするのに、結果を出すに必要であるより以上な物を一切用いないように注意した[#「結果を出すに必要であるより以上な物を一切用いないように注意した」に傍点]。
実験が済めば、室を出て階上に登って行き、あとは書斎[#「書斎」に傍点]で考える。この順序正しいことと、道具を出来るだけ少ししか使わないこととは、ファラデー自身がしただけでなく、ファラデーの所で実験の指導を受けた者にも、そうさせた[#「そうさせた」に傍点]。そうさせられた人からグラッドストーンが聞いて、伝に書いた。それをそのまま著者は紹介したのである。
「自然界に適当な質問をしかけることを知っている人は、簡単な器械でその答を得ることをも知っている。この能のない人は、恐らく多くの器械を手にしても、良い結果は得られまい」というのが、ファラデーの意見である。従ってファラデーの実験室は能率《エフィシェンシイ》が良くは出来ているが[#「が良くは出来ているが」に傍点]、非常に完備しているとはいえなかった[#「非常に完備しているとはいえなかった」に傍点]。
かようにファラデーは
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