態」に傍点]のままなのである。それゆえ初めから余の同意しない事を、余のなすべき事としてしまった。これは余がなすことを望まない事であって、サー・デビーと一緒に旅行している以上はなさないわけには行かないことなのだ。しかも実際はというと、かかる用は少ない[#「かかる用は少ない」に傍点]。それにサー・デビーは昔から自分の事は自分でする習慣がついているので、僕のなすべき用はほとんどない。また余がそれをするのを好まぬことも、余がなすべき務と思っておらぬことも、知りぬいているから、不快と思うような事は余にさせない様に気をつけてくれる[#「させない様に気をつけてくれる」に傍点]。しかしデビー夫人の方は、そういう人ではない、自分の権威を振りまわすことを好み、余を圧服せんとするので、時々余と争になること[#「争になること」に傍点]がある。」
「しかしサー・デビーは、その土地で女中を雇うことをつとめ、これが夫人の御用[#「夫人の御用」に傍点]をする様になったので、余はいくぶんか不快でなくなった。」
と書いてある。
 かような風習は欧洲と日本とでは大いに違うているので、少し註解[#「註解」に傍点]を附して置く
前へ 次へ
全194ページ中33ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
愛知 敬一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング