を焼き、ダイヤモンド[#「ダイヤモンド」に傍点]は純粋の炭素より成ることを確めた。
 四月初めにはローマに向い、そこからファラデーは旅行の事どもを書いた長い手紙[#「手紙」に傍点]を母親に送り、また元の主人のリボーにも手紙を出した。そのうちには、政治上のごたごたの事や、デビーの名声は到るところ素晴らしいため、自由に旅行できることも書いてある。またパリが同盟軍に占領された由も書き加えてある。
 ローマでは、モリシニが鋼鉄の針に太陽の光をあてて磁石にするという、あやしい実験[#「あやしい実験」に傍点]を見、月夜にコロシウムの廃趾を越え、朝早くカンパニアの原を過ぎ、ネープルに向った。匪徒《ひと》の恐れありというので、護衛兵[#「護衛兵」に傍点]をも附した。
 五月半ばには再度ベスビアスに登ったが、二度目の時は丁度噴火のあった際であり、それに噴火口に着いたのが夕方の七時半だったので、一段の壮観[#「壮観」に傍点]をほしいままにした。
 六月にはテルニに行って、大瀑布の霧にうつれる虹を見たが、このとき虹の円形の全体[#「全体」に傍点]を見ることができた。アペナイン山を過ぎて、ミランに着いたのは七
前へ 次へ
全194ページ中29ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
愛知 敬一 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング