[#「美観」に傍点]を呈していた。リオン、モンペリエ、ニースを過ぎて、地中海の岸にヨウ素を探し[#「ヨウ素を探し」に傍点]、翌一八一四年の正月終りには、六千尺のコール・デ・タンデの山雪を越えて、イタリアに入った。チューリンにて謝肉祭に逢い、ゲノアにては電気魚[#「電気魚」に傍点]の実験をなし、これの起す電気にて水の分解されるや否やをしらべた。
 ゲノアから小舟にてレリシという所に渡ったが、危くも難破せんとした。それよりフローレンスに向った。フローレンスでは、アカデミア・デル・シメント(Academia del Cimento)に行って、図書館、庭園、博物館を見物した。ここにはガリレオの作った望遠鏡[#「望遠鏡」に傍点]があり、筒は紙と木とで、両端にレンズがはめてあるだけだが、ガリレオはこんな粗末な物で、木星の衛星を発見したのだ。またいろいろの磁石を集めたのがあったが、中には百五十斤の重さの天然磁石[#「天然磁石」に傍点]もあった。タスカニイの大公爵の所有にかかる大きな「焼きガラス[#「焼きガラス」に傍点]」も見た。つまり大きなレンズに外ならぬ。これにて太陽の光を集め、酸素でダイヤモンド
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