よりは実験を止めて、約二個年ばかり休養し[#「約二個年ばかり休養し」に傍点]た。その後ちょっと水蒸気が他の物と摩擦[#「摩擦」に傍点]するために電気の起ることを研究したが、(一八四三年一月に発表、「電気の実験研究」の第十八篇[#「第十八篇」に傍点])、これを以てファラデーの研究の第二期を終るのである。この次の研究は一八四五年の半《なか》ば過ぎからで、第三期として述べる。
「電気の実験研究」の第一巻[#「第一巻」に傍点]には、上の第十三篇[#「第十三篇」に傍点]までがおさめてあって、一八三九年[#「一八三九年」に傍点]に出版した。全体で、五百七十四|頁《ページ》ほどある。
 第十四篇[#「第十四篇」に傍点]から十八篇[#「十八篇」に傍点]までと、これにずっと以前に発表した[#「ずっと以前に発表した」に傍点]電磁気廻転の論文や、電磁感応の発表のときに、イタリア人のノビリおよびアンチノリが出した論文をファラデーが訳し、それに自身の反論を附したものや、またこのときゲー・ルーサックに送った長い手紙や、その他の雑篇を集めて第二巻とした。三百二頁あって、出版は一八四四年[#「一八四四年」に傍点]である。それゆえ、おもなものは第一巻に集っていることになる。

    第三期の研究

     一六 光と電磁気との関係

 この前、十年間の研究に際して、ファラデーの心を絶えず指導して来たのは、自然界の種々の力は互に関係ありと[#「種々の力は互に関係ありと」に傍点]いうことであった。その一つとして電磁気と光との間[#「電磁気と光との間」に傍点]に何にか関係があるという予想は、ファラデーが五年間休養している間に、段々と円熟して来た。
 ファラデーは健康が回復すると、一八四五年[#「一八四五年」に傍点]には再び研究にかかり、八月三十日[#「八月三十日」に傍点]から電磁気と光との関係につきての実験をやり始めた。
 まず電気分解をなしつつある液体の内に偏光[#「偏光」に傍点]を通して見たのであるが、この際、いかなる作用が起るかを予期しておったかは明かでない。ただ手帳には、
「長さ二十四インチ、幅一インチ、深さ一インチ半のガラス函を取り、この内に電解質の液体を入れ、電気分解をなしつつある間に、種々の条件の下に偏光を通じて試験をした。」
と書いてあるのみである。
 電極には白金を使い、液体には硫酸
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