で、國民《こくみん》の神聖《しんせい》なる徽章《きしやう》でもあり、至寶《しはう》でもある。
不足《ふそく》な點《てん》は適當《てきたう》に外語《ぐわいご》を以《もつ》て補充《ほじう》するのは差《さ》し支《つか》へないが、ゆゑなく舊來《きうらい》の成語《せいご》を捨《す》てゝ外國語《ぐわいこくご》を濫用《らんよう》するのは、即《すなは》ち自《みづか》らおのれを侮辱《ぶじよく》するもので、以《もつ》ての外《ほか》の妄擧《まうきよ》である。なかんづく一|國民《こくみん》の有《いう》する固有名《こいうめい》は最《もつと》も神聖《しんせい》なもので、妄《みだ》りに他《た》から侵《おか》されてはならぬ。
曾《かつ》て寺内内閣《てらうちないかく》の議會《ぎくわい》で、藏原代議士《くらはらだいぎし》が總理大臣《そうりだいじん》から「ゾーバラ君《くん》」と呼《よ》ばれて承知《しやうち》せず、「これ猶《な》ほ寺内《てらうち》をジナイと呼《よ》ぶが如《ごと》し」と抗辯《かうべん》して一|場《ぜう》の紛議《ふんぎ》を釀《かも》したことがあつた。
これは一|時《じ》の笑話《せうわ》に過《す》ぎぬが、こゝ
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