姓《せい》を後《あと》に名《な》を前《まえ》に呼《よ》ぶ風習《ふうしふ》であると誤解《ごかい》せしめ、有識《ゆうしき》の歐米人《おうべいじん》をして、日本人《にほんじん》が固有《こゆう》の風習《ふうしふ》を捨《す》てゝ外國《ぐわいこく》の慣習《くわんしふ》にならうは如何《いか》にも外國《ぐわいこく》に對《たい》して柔順過《じうじゆんす》ぎるといふ怪訝《けげん》の感《かん》を起《おこ》さしむるに過《す》ぎぬと思《おも》ふ。
 それよりも、吾人《ごじん》は必《かなら》ず常《つね》に姓前《せいぜん》名後《めいご》を徹底的《てつていてき》に勵行《れいかう》し、世界《せかい》に日本《にほん》の國風《こくふう》を了解《れうかい》させたならば各國《かくこく》の人《ひと》も日本《にほん》の慣例《くわんれい》を尊重《そんちよう》してこれに從《したが》ふに相違《さうゐ》ない。
 餘談《よだん》に亘《わた》るが總《そう》じて歐米《おうべい》の慣習《くわんれい》と日本《にほん》の慣習《くわんしふ》とが全《まつた》く正反對《せいはんたい》である實例《じつれい》が甚《はなは》だ多《おほ》い。
 例《たと》へば年紀
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