と》は建築《けんちく》の本義《ほんぎ》は「實[#「實」に白丸傍点]」であると云《い》ふかも知《し》れぬ。孰《いづ》れが正《せい》で孰《いづ》れが邪《じや》であるかは容易《ようい》に分《わか》らない。人《ひと》の心理状態《しんりじやうたい》は個々《こゝ》に異《こと》なる、その心理《しんり》は境遇《きやうぐう》に從《したが》て[#「從《したが》て」はママ]移動《いどう》すべき性質《せいしつ》を有《もつ》て居《ゐ》る。自分《じぶん》の一|時《じ》の心理《しんり》を標準《へうじゆん》とし、之《これ》を正《たゞ》しいものと獨斷《どくだん》して、他《た》の一|時《じ》の心理《しんり》を否認《ひにん》することは兎角《とかく》誤妄《ごもう》に陷《おちい》るの虞《おそ》れがある。これは大《おほい》に考慮《かうりよ》しなければならぬ事《こと》である。
莫遮《それはさうと》現今《げんこん》建築《けんちく》の本義《ほんぎ》とか理想《りさう》とかに就《つい》て種々《しゆ/″\》なる異論《ゐろん》のあることは洵《まこと》に結構《けつこう》なことである。建築界《けんちくかい》には絶《た》へず何等《なんら》かの學術
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