されてな……アッハッハッハッ……」
酔漢はぺらぺらとわが校長に話している。明石近くになると、みんなの足が妙な、くすぐったい笑いを初める。その笑いは、電車の中の人となってようやくだまってしまった。
明石から仙台まで電車にのる。電車中のロマンスといいたいが、それは長くなるから止すが、その主人は、青いヘルメット帽をいただいた一名色男という××くんで、相手は決して妙齢とは思ってくれるな。また婆さんとも思ってくれるな。しかして読者の想像に任せることとしよう。電車を下りるや、
「いよう、色男っ! 罰金は承知だろうな」
と早速一本参る。
宿屋についた。仙台市××町瀬戸かけ[#「かけ」に傍点]旅館とは、みんなが宿屋の看板を見るまで信じていた名、かけ[#「かけ」に傍点]とかつ[#「かつ」に傍点]の誤りか……うふふ。
明日は多賀城に向かうのだ。疲れたからだに夢も忘れて眠る。
[#地から2字上げ](第二信・仙台にて)
六
三日、午前六時五十五分一の関発、平泉へ出発。まず平泉駅にて下車すればおよそ一町北に平泉館というあり。
「……秀衡が跡は田野に成って金鶏山のみ形を残す……」
と奥の細
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