平泉紀行
──専攻科第一類歴史部──
村山俊太郎
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一
郷土としてのわが東北、その文化の淵源地である平泉の研究旅行、これは私たちのもっとも意義深い憧れの旅であるのだ。
黄金花咲く陸奥の文化は有耶無耶の関を越えてわが出羽に来たのである。われら一行十四名和田校長を部長とした旅行隊は風俗展そのもののような服装をそれぞれ整えると五月三十一日午後三時四十分出発した。
われら記者に選ばれた者はこれから通信の労をとることにする。
二
五月三十一日午後三時四十分、校前に記念撮影をなして出発、笹谷街道を東進した。ヘルメット帽、麦わら帽、鳥打帽、学生帽、中折帽……
「まるで風俗展のようだ。帽子ばかりでも七種類だ」
この異様な一群の中に山形県師範学校長和田兼三郎氏のいるとは知らぬ人の想像もつかぬことに違いない。
専攻科第一の人気者、通称世之助元気なも
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