いまに見てろい。ひどい目に逆《さか》ねじを喰わしてくれるから……。それに、あいつは……」
 遮ぎりながら、西貝が、いった。
「それはそうと、新婚旅行の久我夫婦は、昨夜無事に発っていったかね」
「ふん、一等になんか乗りこんでね、溌剌たる威勢でしたよ。(急に声をひそめると)それについてね、あたしあ、ちょっと感じたことがあるんだ」
「どう感じた? ……羨ましくでもなったか」
 チラリと上眼をつかって、「……ねえ、西貝さん。まさか久我は逃げたんじゃないんだろうねえ。……もし、そうだとすると……」
「殺《や》ったのは久我だというのかね」
 乾が空嘯いて、いった。
「あんたは知ってるさ」
 西貝がはねかえす。
「そんなことおれが知るもんかい。……へへえ、古田と葵で足らずに、こんどは久我を密告《サス》つもりなんだな。……まるで縁日の詰将棋だ。あの手でいけなきゃこの手か。……おいおい、頼んどくが小生だけは助けてくれよ」
 乾はニヤリと笑うと、
「……いつぞやもいいましたが、遺産をひっ攫ったやつをこの手でとっちめるまでは、死んだってあたしゃあきらめないんだ。……用心なさいよ、おいおいそっちへもお鉢がまわ
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